肺がんの治療方法は、肺がんの種類(非小細胞肺がん・小細胞肺がん)と病期、その他にも全身状態や心肺機能、既往歴などを総合的に検討し、最善の治療方法を選択します。

このページでは、肺がんの外科手術・放射線療法・化学療法についての解説と副作用を紹介しております。

肺がんの外科手術

外科手術は、肺にできた癌を完全に切除し、根治を目的に行われます。三大療法の中で最も効果の高い治療ですが、手術によって状態が悪化してしまうと考えられる場合は、手術以外の方法を検討します。肺は右肺と左肺に分かれており、右肺には3つ(上葉・中葉・下葉)、左肺は2つ(上葉・下葉)の肺葉が存在します。通常は癌が含まれている肺葉切除を行いますが、早期がんの場合は肺葉の一部のみを部分切除する事もあります。

肺葉切除+リンパ節郭清

肺葉切除+リンパ節郭清

肺がんの外科手術で最も多い標準的な手術方法です。肺葉を葉単位で摘除する肺葉切除と同時にリンパ節郭清も行います。リンパ節郭清では、肺内のリンパ節は肺葉と共に切除されますが、縦隔と呼ばれる肺のすぐ近くにあるリンパ節がたくさん存在する胸の中心部のリンパ節も系統的に摘出します。

肺全摘術

肺全摘術

肺全摘術は、癌病巣が大きく複数の肺葉を巻き込んでいる場合や、病巣が肺の中枢部に位置する場合に行われます。癌が存在している片側の肺葉の全てを摘出し、同時にリンパ節郭清も行います。

胸腔鏡手術

腹腔鏡手術

標準的な開胸手術では10数cmの切開創と肋骨一部切離及び開胸器により開創して手術を行います。それに対し胸腔鏡手術は、胸部に数cmの小切開創1ヶ所と、1cm程度の切開創2ヶ所の合計3ヶ所の切開創からカメラや手術器具を挿入して肺の手術を行います。確実に病巣を切除するため、手術中に胸腔鏡手術から開胸手術に変更する事もあります。

外科手術の合併症

外科手術の合併症

肺がんの外科手術では、肺の一部を切除します。その為、術後の痛みや痰が増える、肺の働きの低下から息切れを起こしやすくなるなどの症状が出る場合があります。肺がんの手術後に見られる主な合併症としては、肺炎、肺瘻(はいろう)、気管支断端瘻、声のかすれ、肺梗塞、心筋梗塞などがあります。

肺がんを治すため今からできること

肺がんの放射線療法

肺がんの放射線治療では、原発巣やリンパ節転移に対して根治目的に行う根治的胸部放射線療法と、骨や脳などへの転移によって起こる症状の緩和目的で行う緩和的放射線療法があります。小細胞肺がんでは、治療により癌が検査では確認できない位に縮小した患者さんに対して、脳転移を防ぐために予防的全脳照射をする事があります。

放射線療法の副作用

放射線療法の副作用
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癌細胞に対して放射線を照射してダメージを与える放射線療法では、周囲の正常細胞にも放射線が当たってしまいます。放射線療法による副作用として、皮膚炎、放射線肺炎、放射線食道炎、脊髄炎などが起こる場合があります。

肺がんを治すため今からできること

肺がんの化学療法(抗癌剤治療)

肺がんの抗がん剤治療は、癌を縮小させる事を目的に行われます。何種類かの抗癌剤を組み合わせて使う多剤併用が肺がんでは主流になっています。外科手術や放射線療法が局所療法と呼ばれているのに対して、抗癌剤治療は全身治療と呼ばれています。肺がんでは、非小細胞肺がんと小細胞肺がんで治療方法が異なります。ここでは、肺がんの種類別に抗癌剤治療について解説していきます。

非小細胞肺がんの抗癌剤治療について

非小細胞肺がんの抗癌剤治療について

非小細胞肺がんでは、病期(ステージ)に応じて外科手術や放射線療法と組み合わせて、あるいは単独で抗癌剤治療を行います。ステージ1b期から3a期では手術後の補助療法として、手術が不可能な3a期・3b期や4期では抗癌剤治療が治療の第一選択肢となります。

非小細胞肺がんで使用する標準治療薬は以下の通りです。

▼ 手術後1b期の場合
UFT(ユーエフティー)

▼ 手術後2a期、2b期、3a期の場合
シスプラチンにビノレルビン、ペメトレキセド、イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、TS-1のいずれかを併用して使用されます。

▼ 手術不能の3a期、3b期の場合
シスプラチンまたはカルボプラチンにペメトレキセド、ピノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、TS-1のいずれかを併用して使用されます。

▼ 3b期の一部、4期の場合
シスプラチンまたはカルボプラチンにペメトレキセド、ピノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、TS-1のいずれかを併用して使用されます。
※扁平上皮がん以外の組織型の場合、ベバシズマブを併用する事もあります。

非小細胞肺がんの分子標的薬

最近では、遺伝子やDNAを調べることができるようになり、癌細胞DNAのどこに異常があるか分かるようになってきました。これを利用した治療法が分子標的治療です。ALK融合遺伝子またはEGFR遺伝子に変異があるか検査をし、変異があれば、ALKチロシンキナーゼ阻害剤とEGFRチロシンキナーゼ阻害剤という分子標的薬を使うことができます。

ALK遺伝子変異ありクリゾチニブ(ザーコリ)、アレクチニブ(アレセンサ)
EGFR遺伝子変異ありゲフィチニブ(イレッサ)、エルロチニブ(タルセバ)

免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイント阻害剤とは、癌を攻撃する薬ではなく、免疫システムの働きにブレーキがかかるのを阻害する薬です。免疫機能が正常に働いている状態では、がん細胞を敵と判断し、T細胞という免疫細胞が主役となってがん細胞を攻撃します。

しかし、がん細胞もそう簡単には負けてはおりません。T細胞等の免疫機能による攻撃を受けないよう、がん細胞はPD-L1という物質を作りだします。このPD-L1という物質が、がん細胞を攻撃するT細胞のPD-1受容体と結合することにより、免疫機能にブレーキがかかります。その結果、T細胞はがん細胞への攻撃ができなくなってしまうのです。

免疫チェックポイント阻害剤は、T細胞のPD-1に結合し、がん細胞から作り出されたPD-L1との結合を阻止することにより、免疫機能にブレーキがかからないようにして、T細胞のがん細胞を攻撃するちからを高める新しいタイプの治療薬です。

承認日一般名商品名抗体効能・効果
2014年9月ニボルマブオプジ-ボPD-1切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
2016年12月ペムブロリズマブキイトルーダPD-1切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

小細胞肺がんの抗癌剤治療について

小細胞肺がんは、診断された時点で転移が見られることが多くあります。その一方で、非小細胞肺がんに比べて抗癌剤治療の効果が高いという利点もあり、小細胞肺がんでは抗癌剤治療が中心となり行われます。小細胞肺がんの抗癌剤治療では、多剤併用療法の効果が高く、予後も延長する事が分かっています。現時点では、小細胞肺がんに分子標的治療薬の適用はありません。

小細胞肺がんで使用する標準治療薬は以下の通りです。

▼ 一次化学療法 (限局型、進展型)
シスプラチン+エトポシト、カルボプラチン+エトポシド
シスプラチン+イリノテカン
※通常の治療サイクルは4サイクルが推奨され、最大で6サイクルです。

▼ 二次化学療法(再発)
再発までの期間が2~3ヵ月未満
パクリタキセル、ドセタキセル、トポテカン、イリノテカン、ゲムシタビン
イホスファミド、ピノレルビン、エトポシド、シクロフォスファミド、ドキソルビシン

再発までの期間が2~3ヵ月以上6ヵ月未満
パクリタキセル、ドセタキセル、トポテカン、イリノテカン、ゲムシタビン

再発までの期間が6ヵ月以上
一次化学療法と同様

化学療法(抗癌剤治療)の副作用

化学療法(抗癌剤治療)の副作用

抗癌剤の副作用は使用する薬剤によって異なり、副作用の程度にも個人差があります。副作用は、自分で分かるものと検査などによって分かるものに大別されます。自分で分かる副作用としては、吐き気・嘔吐・食欲不振・口内炎・下痢・便秘・全身の倦怠感・手足の痺れ・脱毛などがあります。また、他覚的な副作用には、白血球や血小板の減少・貧血・肝機能障害・心機能障害や肺障害などがあります。化学療法を円滑に行うためにも、抗癌剤の副作用を最小限に抑えて、QOLを維持しながら治療を進める事が重要です。

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