眼のがん

眼科領域の腫瘍は比較的稀な疾患です。眼部は、眼球と眼付属器の眼瞼(がんけん)、結膜、眼窩(がんか)、涙腺などに分けられ、それぞれ異なった多種多様の腫瘍が生じます。悪性腫瘍でも治療法が確立していないことが多く、生命の問題に加え、決して軽視できないのは、視機能維持の問題、美容の問題です。それぞれの症例に応じて治療法を決定していくこととなります。

眼のがんの主な種類(眼内の腫瘍、眼付属器の腫瘍)

■眼内の腫瘍

・網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)

小児の眼球内に生じる悪性腫瘍で、両眼性と片眼性があります。目が白く見える白色瞳孔により病気に気付く事が多く、その他にも斜視(しゃし)や視力の低下、角膜の混濁などが症状として現れる場合があります。
治療法は、進行している場合には眼球を摘出する外科手術となります。しかし、腫瘍の位置や大きさなどにより視力が期待できると判断された場合は、抗がん剤治療や局所療法を組み合わせて眼球温存治療を行います。

・脈絡膜悪性黒色腫(みゃくらくまくあくせいこくしょくしゅ)

脈絡膜悪性黒色腫はぶどう膜(脈絡膜、毛様体、虹彩)悪性黒色腫に含まれ、成人の眼球内に生じる悪性腫瘍です。国内の発症は1年間で50名ほどと推定されている希少ながんです。初期ではあまり自覚症状がありませんが、進行すると視界が欠ける・ぼやける・歪むなどを覚えるようになります。
腫瘍の大きさにより治療方法が異なります。進行して腫瘍が大きい場合には眼球摘出となりますが、そうでなければ小線源治療や粒子線治療などの放射線治療による眼球温存治療も行われます。

・眼内リンパ腫

眼球内に生じる悪性リンパ腫は脳のリンパ腫である中枢神経系悪性リンパ腫の一亜型と考えられています。眼内リンパ腫は、そのほとんどが大細胞型B細胞リンパ腫という種類です。自覚症状として視力低下が現れ、眼の検査をすると、硝子体混濁と網膜の下に腫瘍の塊を生じる状態があります。ぶどう膜炎という病気と似ているため識別が必要です。診断のためには硝子体手術を行って腫瘍細胞を採取し、細胞診、遺伝子検査などを行いますが、腫瘍の塊ではなく浮いている細胞の検査になるため診断が難しい場合があります。両眼に生じる場合や脳のリンパ腫を伴う場合があるので、両眼の検査に加え、脳のMRI検査も必要となります。

治療法は、眼球に対しては放射線治療、抗がん剤の硝子体注入が有効です。脳のリンパ腫がある場合は、全身化学療法、放射線治療など集学的治療を行いますが、完全に治すことは難しいのが現状です。診断時に脳にリンパ腫がなくても、後に約30%の頻度で脳の病変が生じるため、この予防のための治療法も検討されています。しかし、今のところ確実な方法はまだなく、臨床試験を行っている専門施設での治療が勧められます。

■眼付属器の腫瘍

・眼瞼腫瘍(がんけんしゅよう)

眼瞼にできる腫瘍は、眼部腫瘍の中では頻度が高く、基底細胞がん、脂腺がん、扁平上皮がんが3大腫瘍となり、日本ではほぼ同じ頻度で発症します。診断の為に腫瘍の一部をとって病理検査を行う場合と、始めから腫瘍全体を切除する場合があります。

治療の原則は、一部の正常組織を含めて腫瘍を完全に切除することです。球結膜や眼窩内に腫瘍が広がっていなければ、眼球を残して眼瞼だけの治療を選択します。腫瘍切除後は、見た目だけではなく眼の機能も考えた再建を行います。再発した場合には再手術を行うか放射線治療が検討されます。放射線治療では約70%が治癒しますが、眼球の障害を軽減するための照射法が必要となり、治療施設は限られます。また、腫瘍と同じ側の耳の周囲、顎の下のリンパ節に転移することがあるため注意が必要です。

・涙腺腫瘍(るいせんしゅよう)

涙を作る組織である涙腺は、眉毛の奥にあります。腺がん、腺様嚢胞がんという種類があり、良性腫瘍、悪性リンパ腫との識別が必要です。腫瘍が大きくなると眼球偏位が見られますが、視力はあまり落ちないため、腫瘍が大きくなるまで発見されないことも少なくありません。CTやMRIで腫瘍を確認しますが、骨が破壊されている場合には悪性腫瘍の可能性が高いと判断します。

最善の治療は、手術で腫瘍を全摘出することですが、骨に浸潤している場合にはこれも含めて切除することが勧められます。しかし、腫瘍が完全に切除されたとしても、その後に再発することが少なくないため、長期間の経過観察が必要です。

・眼付属器リンパ腫

眼内リンパ腫とは違い、結膜、涙腺、眼窩内に生じるリンパ腫のほとんどは低悪性度B細胞リンパ腫であり、一部大細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫が含まれます。片側の場合と両側にできる場合がありますが、両側にあっても病期は1期に分類されます。眼窩内の場合は眼瞼の腫れや眼球突出などの症状があり、腫瘍の一部をとって病理検査を行うことで診断できます。リンパ腫の診断後に全身検査を行い、他部位に腫瘍があるか否かの検査を行います。

眼の部分だけに腫瘍がある場合には、放射線治療を行うことが多く、80%以上が治癒します。しかし、切除だけでも長期間寛解することがあり、治療の効果と副作用を考えて治療法を決定します。眼以外の部位に病変がある場合は全身のリンパ腫としての対応が必要となります。

・眼窩肉腫(がんかにくしゅ)

眼窩内や眼窩骨に肉腫が生じることがありますが、非常に稀です。腫瘍によって眼球偏位が見られたり、眼瞼が腫れたりして発見されます。手術で完全に切除する事は難しく、ほとんどの場合は腫瘍の一部をとって病理診断を行い、その後に化学療法、放射線治療を組み合わせた治療が行われます。組織型によっても治療法は異なります。

・視神経腫瘍

視神経腫瘍の代表疾患は、小児の視神経膠腫(グリオーマ)、成人の髄膜腫です。主な自覚症状は視力低下ですが、大きな腫瘍では眼球突出も生じ、画像検査にて発見されます。診断のために腫瘍の一部を切除することもありますが、多くの場合は画像検査から確定診断が可能です。

治療法は手術、放射線治療、化学療法があります。グリオーマの場合は、視力を犠牲にして視神経ごと腫瘍を切除していましたが、化学療法を行い視機能を温存する試みも行われています。髄膜腫は視神経を包む鞘から生じる腫瘍で、腫瘍を切除すると視神経の障害によって失明することが多くなります。その為、治療法は主に放射線治療が選択されています。

眼のがんの主な治療法

治療法は腫瘍が眼球内にとどまっているか、眼球外に広がっているかによって大きく異なります。 眼球内にとどまっている場合、眼球をなるべく摘出せずに、可能な限り残す方針で治療するという考え方が最近では多くなってきています。局所治療、抗がん剤治療、放射線治療などを組み合わせて行いますが、標準治療はまだ確立していないのが現状です。

眼のがんの外科手術

手術によって病巣を切除する治療で、腫瘍の部位と腫瘍の大きさによりさまざまな術式が選択されます。眼球の中にある腫瘍の進行例では、目玉を取ってしまう眼球摘出術を行いますが、その際には通常、義眼を装用できる様にします。

眼瞼・結膜腫瘍の場合には、腫瘍と共に瞼や眼の周りの粘膜である結膜を切除するため、再建が必要になります。 眼窩腫瘍の場合は、眼球、瞼を開かせる筋肉や眼を動かす筋肉などへのダメージが最小で済む様に慎重に腫瘍を摘出し、浸潤および悪性度に応じて必要な場合にはさらに放射線治療や眼球も含めて眼窩の内容物を全て取ってしまう眼窩内容除去術を行う場合もあります。

眼のがんの局所療法(小さな腫瘍に対する治療法)

・レーザー照射

比較的小さな腫瘍に対してレーザーを照射して腫瘍を小さくします。大きな腫瘍に対しては抗がん剤治療と併用します。

・冷凍凝固療法

マイナス80度に冷却した専用の器具を眼球の壁に当て、腫瘍を凍らせて破壊します。網膜周辺の小さな腫瘍に対して行われます。

眼のがんの放射線療法

放射線治療は病巣に放射線をあてて腫瘍細胞を死滅させる治療方法で、悪性腫瘍に対する有効な治療法の1つです。腫瘍の放射線感受性や、性質を考え、最も有効と思われる方法で照射します。病気によって照射の種類や方法、照射量は異なります。

・小線源治療

眼球の曲面に合わせた形の放射性同位元素を用い、これを手術的に眼球壁の外から腫瘍に相当する部位に固定し、一定時間経過したところで除去する治療法です。日本ではルテニウム106という放射性同位元素を使います。欧米ではヨウ素125、パラジウム103なども使われています。ルテニウム106はβ線を放出し、約5mmの厚みまでの腫瘍に十分な放射線を照射できます。距離が離れると減衰するため、眼球の対側の壁には数分の1程度しか照射されず、周りの組織の放射線障害を減らしつつ、治療に十分な放射線を照射するために開発された治療法です。

治療中は、周りへの被曝の可能性があることから、十分に遮へいされた特殊な病室で過ごす必要があります。線源を除去した後は放射能が残ることはなく、通常の生活が可能です。

眼のがんの化学療法(抗がん剤治療)

化学療法とは抗がん剤による治療のことで、広い範囲のがん細胞を攻撃する治療法です。 腫瘍の眼球外への広がりや転移がみられる場合には可能な限り腫瘍を切除しますが、切除できない場合や、切除できた場合でも再発の危険性を低くするため、抗がん剤による治療を行います。これとは別に、眼球温存のための全身化学療法があります。局所治療では治癒が難しい大きな腫瘍に対しては、まず全身化学療法を行います。

この治療により、眼球内の腫瘍は小さくなりますが、この治療だけで眼球の腫瘍を治癒させることは難しいため、局所治療とともに行います。全身療法としては、ビンクリスチン、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、シクロホスファミドなど単剤もしくは2~3剤の併用療法で使用されます。また、抗がん剤であるマイトマイシンの点眼も薄く広がっている場合は有効とされています。

抗がん剤の副作用

一般的に抗がん剤は、細胞が分裂・増殖する過程に働きかけて、細胞の増殖を抑えます。がん細胞は活発に分裂・増殖している細胞なので、抗がん剤の効果が期待されます。しかし、腸の細胞や髪の毛を造る細胞、血液を造る細胞なども活発に分裂・増殖しているため、影響を受けやすく、脱毛などの様々な副作用があらわれます。

抗がん剤の副作用軽減は薬剤耐性の克服

理論上100%効果があるはずの抗がん剤が効かない最大の理由はがん細胞が増殖するに従って遺伝子の蓄積が起こってくるためだと考えられています。特定の抗がん剤の攻撃を受けたがん細胞は自己防衛本能によって進化します。その進化した遺伝子が抗がん剤に耐性を獲得して、それまで効いていた抗がん剤が効かなくなり、副作用も強くなってしまいます。こうした薬剤耐性の克服は大きな課題となっていますが、現時点で西洋医学には抑制できる薬はまだありません。

薬剤耐性の克服とQOL(生活の質)の向上を目指して

がん治療において現代医学を補完する目的で九州大学大学院の白畑教授と吉田医院の吉田院長が共同研究で取り組んでいる酵素消化低分子化フコイダンが、改善が難しい2期以降のがんにおいても驚く結果が数多く確認されています。酵素消化低分子化フコイダンを用いたフコイダン療法は現代医学の向上に欠かせない統合医療として注目されています。

統合医療におけるフコイダン療法

統合医療とは、二つの療法を統合することによって両者の特性を最大限に活かし、治療をしようという考えのことです。最先端の医学である西洋医学のデメリットや欠点を補い西洋医学がより効果を発揮しやすいように環境整備をするのがフコイダン療法です。
抗がん剤と酵素消化低分子化フコイダンを用いたフコイダン療法は、技術改革が進む先端医療をはじめとした近代西洋医学と酵素消化低分子化フコイダンが融合するハイブリッドな医療です。

■関連項目

お問い合わせ先

NPO法人日本統合医療推奨協会では、フコイダン療法やがん統合医療についての無料相談窓口を設置しております。臨床に基づいた飲用方法、がん治療についてのお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。

お電話が繋がらない場合は、氏名・ご連絡先・お問い合わせ内容をご入力の上info@togoiryou.comまでメール送信下さい。

資料もご用意しております。

フコイダン療法についての無料レポートをご用意しております。お電話または資料請求フォームよりご請求下さい。