前立腺がん

前立腺がんはもともと欧米に多く、日本は米国の10分の1程度の罹患率とされていました。しかし、近年では日本でも前立腺がんの罹患数が急増しています。 2020年には罹患数が肺がんに次いで2番目になると予想されていましたが、2015年に国立がん研究センターが発表したがん罹患率最新推計値では、男性は胃がん(90,800人)、肺がん(90,700人)を抜いて前立腺がん(98,400人)が1位の予測となりました。また、死亡数も同年には2000年に比べ、2.8倍に増加することが予想されています。

前立腺がんは病期(ステージ)と全身状態により異なりますが、5年生存率は、 A(1)期約86%、B(2)期約89%、C(3)期約84%、D(4)期約44%となっています。

前立腺がんは、原発腫瘍の大きさ(T:primary Tumor)、リンパ節転移の有無(N:regional lymph Nodes)、他の臓器への転移の有無(M:distant Metastasis)で病期(ステージ)が決まります。 これをTNM分類といいます。グリソンスコアや病気の進み方、全身状態、年齢、既往歴なども総合的に検討して治療方針を選択します。

前立腺がんを治すために今からできること

前立腺がんの病期分類(ステージ)

他のがん腫とは違い、前立腺がんは病期をA~Dで表現することもよくあります。
病期(ステージ) 治療法
A期 (1期) 触診でも超音波検査でも発見不能なごく小さな腫瘍で、前立腺肥大症などの手術の際に、偶然に見つかったもの。 一般的には無治療で経過観察することが多いですが、比較的若年者の場合手術療法などの根治的治療法が選択されることもあります。
B期 (2期) 前立腺内に限局している腺がん。 年齢や合併症の有無に応じ手術療法、放射線療法、ホルモン療法などが行われます。
C期 (3期) 転移はないが、がんが前立腺被膜を越えているか、精嚢に浸潤するもの。 ホルモン療法を中心に外科手術や放射線治療を行うことがあります。
D期 (4期) 転移を有するもの ホルモン療法を中心に放射線治療が追加されることもあります。

グリソンスコア(悪性度の診断)

グリソンスコアは前立腺がんの悪性度を示す数値です。前立腺がんの治療方法を選択する際に利用されます。前立腺がんはがん細胞の種類がいろいろあり、悪性度の異なる複数の細胞が混在しています。その細胞像を5段階の組織分類に当てはめて、がんのグレードを確定します。

前立腺針生検を行って採取したがん細胞を顕微鏡で調べて、一番多くの面積を占めている細胞像と、2番目に面積を占めている細胞像を選びます。それぞれを5段階のスコアに当てはめます。その2つのスコアを合算したものがグリソンスコアになります。

たとえば、最も多い成分が3で次に多い成分が4の場合3+4=7となります。最も悪性度が低いものが2、高いものが10となります。グリソンスコアの分類では6以下はおとなしいがん、7は中くらいの悪性度、8以上は悪性度の高いがんといわれます。

前立腺がんの標準治療

前立腺がんのなかでも、特に悪性度の低いものは進行も遅く、生命に影響を及ぼさないことが少なくありません。がん以外の病気で亡くなった男性を解剖すると、70歳を超えた人の20~30%、80歳を超えた人の30~40%が、前立腺がんを持っているといわれます。

そのほとんどが、おとなしい高分化腺がんです。その一方で、進行の速いがんもあるので、自分のがんがどういう性質なのかをよく知って、治療を選択する必要があります。前立腺がんの治療法には待機療法、外科手術、放射線療法、ホルモン療法、抗がん剤治療など様々な治療法があります。どの治療法を選ぶかは、がんの病期、悪性度、年齢、合併症の有無などによって選択されます。

■待機療法

前立腺生検の結果、悪性度が低いがんが少量認められるだけで、すぐに治療を行わなくても余命に影響がないと判断される場合に選択される方法です。PSAの数値の推移や再生検などから治療が必要と判断されるまでは治療を行わずに様子をみます。特に高齢者の場合には、体への負担の少ない治療法を選択していくことが大切になるため、待機療法は治療法の1つとして考えられています。

 

■外科手術

手術では、前立腺と精のうを摘出し、膀胱と尿道をつなぐ前立腺全摘除術が標準術式となっています。一般に骨盤内のリンパ節も取り除かれます。前立腺全摘除術は、がんが前立腺内にとどまっている状態では、最も高い生存率が期待できる治療法とされています。

しかし、患者さんの体力を十分考慮することが必要です。手術の方法には、下腹部を切開して前立腺を摘出する開腹手術や腹部に空けた小さな孔から腹腔鏡と呼ばれる内視鏡を入れて行なう腹腔鏡手術、開腹手術と腹腔鏡手術の利点を併せ持つ腹腔鏡下小切開手術、ロボット支援下手術などがあります。がんが前立腺内にとどまっている場合においては、根治の可能性が高い治療法です。

手術支援ロボット(da Vinci ダヴィンチ)

近年、世界的に普及しているのが手術支援ロボット(da Vinci:ダヴィンチ)を用いる腹腔鏡下手術です。2012年末時点で、米国の前立腺がん手術の98%は手術支援ロボットを使用して行われており、日本でも2012年に前立腺全摘除術に保険が適用されました。ダヴィンチ手術はからだに負担の少ない鏡視下手術の精度をさらに上げる、先進の手術です。

従来の鏡視下手術では、術者は2次元の平面画像を見て手術を行っていましたが、ダヴィンチでは3次元の立体画像を見ることが出来ます。鏡視下手術と同様に患者さんの体に小さな穴を開けて行い、傷口も小さい手術です。開腹手術に比べて傷口が小さいため、手術中の出血量が少ない、手術後の疼痛が軽減できる、合併症リスクの大幅な回避ができるといったメリットがあります。

2014年9月時点で、日本国内に188台のダヴィンチが導入されています。

 

■放射線療法

放射線治療には、外科手術と同様に転移のない前立腺がんに対する根治を目的とした場合と、骨転移などによる痛みの緩和などのために使用される場合があります。放射線治療は、外科手術に比べて身体的負担が少なく、手術を行うことができない70歳以上の患者さんにも行うことができます。放射線療法には、体外より治療を行う外部照射療法と、前立腺組織内に放射線源を挿入する密封小線源療法の2つの方法があります。

外部照射療法

転移のない前立腺がんに対して、身体の外から患部である前立腺に放射線を照射します。前立腺がんに対する放射線治療では放射線の総量が多くなればなるほどその効果が高いことが知られています。現在では治療範囲をコンピュータで前立腺の形に合わせ、なるべく周囲の腸や膀胱にあたる量を減らすことにより、従来の放射線治療と比較して、より多くの放射線を照射できるようになっています。我が国で可能な外部照射療法には多門照射、3次元原体照射、強度変調放射線、陽子線、重粒子線があります。

密封小線源療法

小さな粒状の容器に放射線を放出する物質でヨード125とよばれるアイソトープを密封し、これを前立腺へ埋め込む治療法です。腰椎麻酔のもとに肛門から挿入した超音波で確認しながら、計画された場所に専用の機械を使用してアイソトープを埋め込みます。

外照射法と比較して数日で治療が終了し、前立腺に高濃度の放射線を照射することが可能であり、副作用も軽度です。埋め込まれた放射性物質は半年くらいで効力を失い、取り出す必要はありません。この治療は前立腺内にとどまっている前立腺がんの中でも、悪性度が低いがんがよい適応とされ、この場合には手術療法と同様の効果が得られるとされています。

 

■ホルモン療法

前立腺がんの多くは、精巣および副腎から分泌される男性ホルモンの影響を受けて増殖・進展します。ホルモン療法は、男性ホルモンの分泌や働きを抑えることによって、前立腺がん細胞の増殖を抑制しようとする治療法で、ほとんどの前立腺がんがこの治療によく反応します。

がんが前立腺の外に浸潤している場合には、内分泌療法を単独あるいは放射線治療と組み合わせて行います。また、治療効果を高める目的で、手術や放射線治療の前後にホルモン療法を併用することもあります。

LH-RHアゴニスト 注射 リュープリン、ゾラデックス、ゴナックス
EGFR抗アンドロゲン剤 内服 ビカルタミド、カソデックス、オダイン、ザイティガ

ザイティガ

2014年7月に去勢抵抗性前立腺がんに承認された新規のホルモン剤です、アンドロゲン生合成に必要な酵素であるCYP17を選択的に阻害することで抗腫瘍効果を示す新しい作用機序を有するCYP17阻害剤です。CYP17阻害作用により、精巣のみならず、副腎や前立腺がん組織内におけるアンドロゲンの生合成自体を抑制します。

 

■化学療法

化学療法とは抗がん剤による治療のことで、広い範囲のがん細胞を攻撃する治療法です。転移の有る前立腺がんは、数か月から数年の間に多くの症例でホルモン療法が無効となります。すなわち、去勢抵抗性となります。このようなホルモン療法が無効となった去勢抵抗性前立腺がんに対しては、現在、標準治療としてタキソテールによる抗がん剤治療が行われています。

カバジタキセル(ジェブタナ)

2014年9月に承認されたタキサン系の新薬です。ジェブタナは細胞内の微小管に作用し、細胞増殖を阻害する抗がん剤です。

 

■骨転移に対する治療

ゾメタ、ランマークという薬剤を使用します。骨を壊す破骨細胞の働きを抑えて骨を守り、骨病変の進行を遅らせます。カルシウム値が下がる事があるため、カルシウム製剤とビタミンDを同時に摂取します。

前立腺がんと薬物療法(ホルモン・抗がん剤)

前立腺がんの多くは、男性ホルモンであるアンドロゲン感受性がんです。そのため、抗アンドロゲン剤であるアンドロゲン遮断療法(ホルモン療法)が有効となります。ホルモン療法は、ほとんどの前立腺がん患者に効果が出ますが、やがて不応となり効果を認めなくなります。これを「去勢抵抗性前立腺がん」と呼びます。去勢抵抗性前立腺がんのように、ホルモン療法が無効となった場合、最終手段として抗がん剤治療が行われます。

前立腺がんの罹患率と将来の予測前立腺がんの罹患数、死亡者数は増加しています。前立腺がんを寛解させるためには、限られた薬剤の効果を最大限に発揮させ、がんが薬を覚える薬剤耐性を防ぐことが重要となります。

そして、治療中の副作用を最小限に抑え、体力を落とさないことが前立腺がんの治療を予定通りに行う最善の方法です。その唯一の方法が低分子化フコイダンと前立腺がんの薬物療法を併用した「統合医療」なのです。

■関連項目

大腸がんを治すため今からできること

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