九州大学において基礎研究が行われているフコイダンは、口から摂取した時に腸管から吸収されやすくするために低分子化した酵素消化低分子化フコイダンです。
基礎研究の結果から、フコイダンを低分子化することにより細胞レベルで違いが出てくることが解っています。
今年の10月に九州大学の照屋輝一郎助教から最新の研究報告がございました。
― 低分子化フコイダンの機能 ―
1,アポトーシス誘導作用
がん細胞及び正常細胞に低分子化フコイダンを投与し、増殖に及ぼす効果の実験を行ったところ、正常細胞は著効が無かったが、がん細胞に対しては低分子化フコイダン濃度が高くなるにつれ、大きく細胞の生存率が低下しました。
更に調べたところ、低分子化フコイダンはがん細胞を特異的にアポトーシスに導く作用があることが解りました。
2,抗がん剤と低分子化フコイダンの併用効果
がん治療において多くの癌腫で使われるCDDP(シスプラチン)と低分子化フコイダンを併用した実験の結果、がん細胞においてはCDDP(シスプラチン)の濃度が高まるにつれ細胞死が増強し、低分子化フコイダンの濃度が高まるにつれ、CDDP(シスプラチン)単独よりも細胞死が大幅に増強されました。
この実験から、低分子化フコイダンは抗がん剤の邪魔をせずに、むしろ併用することで抗がん剤と低分子化フコイダン両方でがん細胞を攻撃していることが示されました。
一方、正常細胞においてはCDDP(シスプラチン)の濃度が高まるにつれ細胞死が大きく増強するが、CDDP(シスプラチン)を投与した時に低分子化フコイダンを併用した場合、低分子化フコイダン濃度が高まるにつれて細胞死が抑制されました。
この実験から、正常細胞に対しては抗がん剤の攻撃から低分子化フコイダンが守ってくれる保護作用があると考えられます。
抗がん剤と低分子化フコイダンを併用することで、がん細胞へのがん抑制効果の増強と正常細胞への保護効果の二点が基礎研究から示唆されています。
3,がん血管新生、浸潤、転移の抑制効果
がん細胞に低分子化フコイダンを処理すると、がん細胞が血管を新生するために生産するVEGFの生産が抑制されました。さらに、がん細胞が浸潤するために使うMMPというタンパク質分解酵素を生産しますが、この酵素も減らすことが解りました。
この結果から、低分子化フコイダンは血管新生・浸潤、転移の抑制効果があることが示唆されています。
4,免疫チェックポイント関連遺伝子の発現変化誘導
がん細胞はPD-L1を出して細胞障害性T細胞に付いているブレーキスイッチであるPD-1とくっつき、自身が排除されるのを防ごうとしてきます。
低分子化処理によるがん細胞のPD-L1の発現量変化を調べたところ、低分子化フコイダンはPD-L1の発現を抑制することが解りました。