日本癌治療学会誌 第53回日本癌学会学術集会プログラム号
進行癌患者に対する低分子化フコイダンによる抗炎症作用とQOLに関する探索的検討
背景
進行がん治療に対する3大がん治療は、有効性にいまだ限界があることや副作用が問題となり、患者は様々な代替医療を検討することになる。この一つに海藻から抽出される高分子硫酸多糖のフコイダンが挙げられる。
特に低分子処理された「低分子化フコイダン」には、抗癌作用や抗炎症効果等を含む広範な生物学的活性があることが報告されてきたが、我々は最近、抗癌剤治療に加えて樹状細胞ワクチンおよび低分子フコイダンを自主的に使用していた進行膵癌患者において、急速な腫瘍縮小とQOLの著名な改善と同時にCRP値が劇的に改善したケースを経験した。
これを契機として、進行がん患者に対するフコイダンの使用によるCRP値への影響、およびさまざまなサイトカイン(IL-1β、IL-6、TNFαなど)およびQOLについて、探索的に検証したので報告する。
方法
倫理委員会での承認を経て、2014年1月~2015年2月の1年間に、本研究参加施設に通院中の進行がん患者に対して、同意のもと少なくとも4週間にわたって低分子フコイダンサプリメント(商品名:パワーフコイダン)を使用してもらい、服用前・2週間後・4週間後において前向きに評価・検討した。
結果
対象患者は計28名、さまざまな癌腫が含まれるにも関わらず、CRP値は服用後2週間で15名(58%)が有意差はなかったが低下傾向を示し、うち10名(38%)で半減以上の変化を認めていた。
CRP産生に関与する炎症性サイトカインでは、IL-1βが18名(69%)で低下傾向を示し(p=0.06)、特にIL-6は有意に低下していた(p<0.05)。一方で、服用前後でのQOL値は有意な変化はみられなかった。
考察
フコイダンは、抗癌剤治療に伴う正常細胞への毒性軽減効果が基礎研究で確認されており、すでに臨床研究においても検証されつつある(ONCOLOGY LETTERS 2011)。
抗癌剤治療に伴う副作用発症には炎症性サイトカインの関与が報告されていることから、今回確認された短期間での炎症性サイトカイン抑制作用は、抗癌剤の副作用軽減に寄与しているかもしれない。
炎症性サイトカインは、進行がん患者の悪液質や倦怠感のほか、さらにはがん細胞の抗がん剤に対する耐性化メカニズムへの関与も報告されており(Nature Med 2013)、今後は、抗癌剤治療中のがん患者に対する支援療法の一つとして、フコイダンの抗炎症性サイトカイン作用による臨床的意義について、抗腫瘍効果も含め、より詳細に検証されることが望まれる。
※Integrative Cancer Therapiesの論文内容を記載していますが他の学会発表とは掲載内容が異なります
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