副作用を軽減するために

抗癌剤は、全身に広がった癌細胞を攻撃する、がん治療の中でも中心となって行われる治療方法です。しかし、抗癌剤は高い効果が得られる反面、強い副作用が現れる場合もあります。副作用が現れると、QOLが低下してしまい、治療の継続ができなくなってしまいます。副作用が起こらなければ、抗癌剤治療は全く怖いものではないのです。

悪い副作用と良い副作用

良い副作用

がん細胞は、急速に分裂して成長を続けます。抗癌剤は、基本的に急速に成長する細胞を攻撃するように作られています。その分裂スピードこそが攻撃対象の目印となっているのです。しかし、分裂スピードが速いのは、がん細胞だけではありません。

正常細胞の中の血液細胞や消化器系の細胞、そして毛根細胞なども急速に細胞分裂を繰り返しているため、抗癌剤ががん細胞と間違って攻撃してしまい、その結果、副作用として現れます。しかし、抗癌剤ががん細胞に効くほど正常細胞には影響が出なくなるので、副作用は少なくなります。抗癌剤が効くということは、がん細胞が抗癌剤の成分を嫌がらずに取り込んでいるということです。

悪い副作用

ところが、抗癌剤が効かないということは、がん細胞が抗癌剤の成分を取り込まず、正常細胞や骨髄に取り込まれてしまい、副作用となって現れます。これは、悪い副作用です。反対に、抗癌剤がよく効くことでがん細胞は小さくなり、投与した抗癌剤が余ってしまいます。その余った抗癌剤が正常細胞に取り込まれて副作用が現れます。これは、抗癌剤が効いている結果の副作用なので、良い副作用となります。

悪い副作用は早期に、良い副作用は治療後半に現れることが多く見られます。副作用が出ている意味を理解して治療にあたることが、がんを克服する大きなポイントになります。悪い副作用と良い副作用

副作用軽減は ”薬剤耐性の抑制”

副作用軽減は”薬剤耐性の抑制”

抗癌剤は、膨大な資金と時間が投入され、理論上は100%効果が出るように設計し、開発された優れた薬です。ところが、実際には抗癌剤の奏効率は3割程度に過ぎません。これはどうしてでしょうか?

100%効果があるはずの抗癌剤が効かない最大の理由は、がん細胞が増殖するに従い、遺伝子の蓄積が起こってくるためだと考えられています。特定の抗癌剤の攻撃を受けたがん細胞は、自己防衛本能によって進化します。その進化した遺伝子が抗癌剤を覚え、その耐性を獲得し、それまで高い治療効果があった抗癌剤も効かなくなります。

その結果、副作用が強くなってしまい、体力や免疫力が低下して治療継続が困難になってしまいます。こうした薬剤耐性の克服は長年の大きな課題ですが、現時点で薬剤耐性を抑制する薬は存在しません。

薬剤耐性を抑制するために

薬剤耐性を抑制するために

薬剤耐性が長年の課題となっている中、医療現場で近年注目されているのがフコイダン療法です。フコイダン療法は、九州大学大学院の白畑實隆教授と吉田年宏院長が共同でがん細胞の安定化を研究し、吉田院長が臨床研究を進めている酵素消化低分子化フコイダンを抗癌剤治療との併用療法です。

長年の臨床研究で、腫瘍マーカー値の減少、QOLの向上、腫瘍の縮小や消失など現代医学では説明することのできない多くの症例が確認されています。また、九州大学の研究においても、抗癌剤単剤より3倍以上の細胞死が確認されました。こうした現象は、がん細胞が抗癌剤を嫌がらずに取り込んだ結果で、酵素消化低分子化フコイダンによってがん細胞が安定化し、抗癌剤の耐性化を抑制している効果と考えらています。

この研究結果は、第62回日本癌学会学術総会、第71回日本癌学会学術総会、第74回日本癌学会学術総会で発表されました。