第58回 成人病公開講座

12月11日大阪府立成人病センターの公開講座に参加して参りました。
今回は、「がん免疫療法の新しい取り組み」でした。

初めに、成人病センター脳神経外科丸野元彦先生の「WT-1ペプチドワクチン療法の現状と展望―脳腫瘍を中心に」のお話でした。がん治療の3大療法(手術、放射線、抗がん剤)に次ぐ治療法として近年注目されているのが免疫療法です。

なかでも、WT-1のがん抗原の世界ランキングは第1位です。WT-1を発現する悪性腫瘍は白血病や悪性リンパ腫、肺がんや乳がん、前立腺、膵臓がんなど殆どの悪性腫瘍に対応が可能と考えられています。WT-1ペプチドワクチン療法が可能と考えられるのは、がん細胞にWT-1蛋白の発現があること。白血球の型(HLA-A-2402、HLA-A-0201)を持つことが条件となるようです。

治療法は1週間に一度の注射になります。再発あるいは治療抵抗性悪性神経芽腫に対するWT-1ペプチド免疫療法の第Ⅱ相臨床試験で有効なことが示され、現在も国立がんセンターなどで「薬剤として認可」されるよう臨床試験(肺がん、膵臓がん他)が行われています。

今後の課題としては、T細胞の抑制系を抑えることでT細胞の活性化を図りもっとT細胞を働きやすくすること。がんが免疫細胞の攻撃から逃れるために自分の目印を隠すこともありT細胞以外の免疫細胞の活性化を図ることも必要と考えられているそうです。免疫療法の今後の発展が期待されます。

次に、成人病センター消化器外科藤原義之先生の「胃がんに対するがんペプチドワクチン療法」でした。胃がんの治療は手術、抗がん剤治療があります。

放射線治療は手術と同様な局所治療法であるが、胃がんに対しては感受性が高くなく標準治療として認められていません。胃がんのステージ1は手術、ステージ2と3は手術と術後抗がん剤治療、ステージ4は抗がん剤治療が標準治療となっています。成人病センターの胃がんに対するペプチドワクチン療法の取り組みとして臨床研究が行われています。

 

■抗がん剤治療(TS-1+シスプラチン)とペプチドワクチンの併用(終了)

今回の臨床研究はペプチドワクチンと抗がん剤を併用する免疫化学療法で、がんをターゲットとしたペプチドワクチンではなく新生血管抑制因子(VEGFR)をターゲットとしたペプチドワクチンが使用されました。結果、抗がん剤単独よりも悪くならない期間の延長が確認されました。

 

■標準治療が効かない患者に対するペプチドワクチン単独療法(解析結果待ち)

現在、切除不能再発胃がんは、化学療法(抗がん剤)が治療の中心であるが、薬剤耐性、有害事象の出現が必須であり新規治療の開発を目的として、標準治療不応となった進行再発胃がんに対してペプチドワクチン単独療法を臨床試験として行われました。2013年の春頃に解析結果が出るそうです。

 

■胃がんステージ3術後の抗がん剤とペプチドワクチンの併用(現在登録中)

現在、5種類(URLC10、DEPDC1、KIF20A、FOXM1、VEGFR1)のペプチドワクチンの安全性を確認し、進行胃がんの根治切除後の再発予防を目的とした術後ペプチドワクチン療法の臨床試験を行っているそうです。標準的術後補助化学療法であるTS-1に併用するかたちで1年間施行されます。

がんに対するペプチドワクチン療法の臨床試験は現在進行中であり、その有効性については今まだ証明されていません。今後、有効性を証明し標準治療として1日も早く確立できるよう期待します。

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