がん性疼痛

がん性疼痛とは、がんに関係するさまざまな痛みのことで、進行がん患者さん全体の約70%が経験すると言われています。がんによる痛みを我慢していると、脈拍や呼吸が速くなったり血圧が上昇するなど悪影響を及ぼします。また、痛みによって食欲が落ちたり、不眠になったりとQOL(生活の質)の大幅な低下にも繋がってしまいます。がん患者さんの中には、痛みがあっても受けている治療が中断してしまうのではないかという不安から我慢してしまう方も少なくありません。しかし、痛みは治療ができる症状であり、痛みを取り除くことで治療が中断になるどころか、より良い治療の継続に繋がると考えられます。 現代医療では、診断された時点で痛みを緩和させる治療もしっかりと行うことが大切だと考えられております。

がん性疼痛の特徴

がん性疼痛には下記の要因が挙げられます。

(1)腫瘍の増大など、がん自体が原因となる痛み

がんが骨に転移したり、がんが大きくなることで他の臓器にも影響が出てきます。 骨転移は骨膜への刺激などによって痛みが起こり、腫瘍の増大などで内臓にがんが広がると消化管の働きが衰えて腹痛が起こります。 また、がんが大きくなることで神経が圧迫され、激しい痺れのような痛みが起こることもあります。

(2)手術などのがん治療に関連して起こる痛み

がんの治療方法には、手術・化学療法・放射線治療などがあります。 これらの治療方法の影響により痛みが生じることは多くあります。
    • 手術:術後の傷跡や神経の損傷によって生じる痛み
    • 化学療法:口内炎や神経疼痛など、副作用から生じる痛み
    • 放射線治療:照射部位の火傷や炎症によることで生じる痛み

(3)療養中の床ずれなど、がんに関連した痛み

抗がん剤の副作用によるだるさや、術後すぐは動けない状態になることもあります。 横になっている状態で、長時間自分の力で動けない時は同じ体制が続くことでの腰痛や床ずれなどが起こります。 これもがん性疼痛です。 痛みは患者さん本人にしか分からない症状であり、我慢できなくなるまで我慢してしまうと体力消耗や日常生活にも影響してしまいます。 痛みが必ずしもがんの進行と関係しているわけではないため、悩まずにまずは相談することが大切です。

痛みが起こった時は

痛みが起こった時は、まずはがん治療をしてくれている主治医に伝えましょう。 主治医は患者さんの痛みの程度や痛みの種類に合わせた薬を処方します。 がん性疼痛に対する治療は鎮痛薬(内服・座薬・貼り薬・点滴)が中心となりますが、神経ブロック療法や骨転移などに対しては放射線治療となる場合もあります。

がん性疼痛で使われる鎮痛薬

鎮痛薬は、解熱鎮痛薬(非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)かアセトアミノフェン)と医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)の2種類があります。

解熱鎮痛薬(非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)かアセトアミノフェン)

初期段階の比較的弱い痛みに使用します。

医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)

解熱鎮痛薬では効果が得られない場合や、中等度から高度の痛みが出ている時は医療用麻薬を言われるオピオイド鎮痛薬が用いられます。医療用麻薬の副作用として、吐き気や便秘があります。

鎮痛薬を使うことに対しての不安

「痛みを伝えることで治療が中止になってしまうのではないか。」「ある程度は我慢して、出来る限り鎮痛薬を使わない方がいいのではないか。」と鎮痛薬に対してマイナスのイメージを持ってしまっていたり、治療への影響を考えてしまう方も多くいます。 他にも、「モルヒネなどの医療用麻薬は依存症になってしまうのではないか。」というイメージを持たれている方もいますが、医療用麻薬の成分は痛みには働きますが、精神や身体への依存はほとんど問題にならないこともわかっています。 医療用麻薬もがん治療や放射線治療で疼痛が軽減した場合、減量や中止も可能ですので、あくまで強い痛みを取り除くための治療薬として考えていて問題ありません。 早い段階から痛みを取るための治療を開始することで、夜間の睡眠確保やその他の生活の中での痛みから解放されることで、QOL(生活の質)も大きく向上します。

痛みの伝え方

適切の鎮痛処置をしてもらうためにも、「いつから、どんな時に、どのような痛み」が出るのかを細かく伝えましょう。 痛みの具合は、全く痛くない時を0、これ以上にない痛みを10を数字でレベル付けて、今の痛みがどの程度なのかを伝える方法は患者さん本人も伝えやすく、医療者側も理解しやすいです。 また、ご自身で対処した方法とその結果(起きた時に痛んだけれど、温めたら治ったなど)があれば、同時に伝えると尚良いでしょう。 痛みの方は、ただ「この辺りがとても痛いんです。」と言うよりも、脈を打つようにズキンズキンと痛むビリビリと電気が走るような痛み締め付けられるような痛み針で刺されているような鋭い痛みなど、具体的に伝えることが勧められています。

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