酵素消化低分子化フコイダン研究報告会

2月23日に福岡市で開催された研究報告会に参加して参りました。

「低分子化フコイダンの抗腫瘍効果に関する最新研究」について九州大学大学院教授 白畑實隆先生のお話がありました。初めに、「酵素消化低分子化フコイダン抽出物の細胞表面糖鎖構造変化を伴うガン細胞死誘導効果」でした。

目的は「酵素消化低分子化フコイダン抽出物」のガン細胞表面糖鎖構造に及ぼす効果ならびにその作用メカニズムの解析です。糖鎖は細胞膜に埋まったタンパク質や脂質に結合し、細胞表面を被っています。体内の情報伝達を調整しながら、増殖や分化といった細胞活動に影響を与えています。

ガンをはじめとする多くの疾患や、免疫機構、ウイルス感染に深く関与しているので、生体の状態を知る重要な指標になると期待されています。糖鎖は、グルコースやガラクトース、マンノースといった単糖類が鎖のようにつながった物質です。糖鎖変化はマンノースから枝分かれが出てくるとPHA-L4(レクチン)糖鎖結合蛋白が結合するのでその結合性で変化の有無が確認できます。また、フコイダン処理により糖鎖を除去できるとマンノースが流失されてConcanavalin A(Con-A)の反応性が増加すると考えられます。

ヒト線維肉腫由来細胞株HT1080、ヒト肺腺がん由来細胞株A549、正常ヒト線維芽細胞TIG-1を用いて実験を行いました。実験方法は3種類の細胞を24時間前培養してから各濃度のフコイダン添加培地と交換、48時間後に測定(IN Cell Analyzer 1000測定器)し、細胞の数を確認しました。結果、肉腫由来細胞株HT1080細胞と肺腺がん由来細胞株A549細胞の表面糖鎖構造に変化が確認できました。糖鎖構造変化は、PHA-L4(糖鎖結合蛋白)の反応は弱まりが見られ、Con-A(糖鎖認識蛋白)の反応は高まりが見られました。一方、正常細胞TIG-1の場合は細胞数が減少しますがこれは、増殖抑制と考えられ細胞の面積は変わりなく細胞に悪影響は出ていません。また、表面糖鎖構造の反応はPHA-L4(糖鎖結合蛋白)、Con-A(糖鎖認識蛋白)ともに変化は見られませんでした。

タンパク質糖鎖構造変化は肉腫由来細胞株HT1080細胞、肺腺がん由来細胞株A549細胞ともにフコイダン処理によって濃度依存的にCon-A結合が増加する傾向を示しPHA-L4の結合が減少する傾向を示しました。正常ヒト線維芽細胞TIG-1ではCon-A及びPHA-L4の結合が減少するガン細胞とは異なる傾向を示しました。

以上の結果から、ガン細胞はフコイダン処理によってCon-A結合型糖鎖の発現の増加、及びPHA-L4結合糖鎖の発現の減少傾向が確認された。⇒(フコイダンによりN-型糖鎖の分岐が減少したことでマンノースが露出したことを示している)正常細胞では、フコイダン処理による糖鎖発現の傾向はガン細胞のものとは異なる。 ⇒(フコイダンによる一連の細胞表面糖鎖構造の変化は、ガン細胞において見られる)

以上のことから、酵素消化低分子化フコイダンはがん細胞と正常細胞を見分けて反応させていると推測され、がん細胞だけを細胞死に誘導していると考えられます。


 

次に、「酵素消化低分子化フコイダン抽質物と抗がん剤との併用による抗腫瘍作用増強効果」 についてでした。

実験に用いる抗がん剤は、カルボプラチン(CBDCA)、フルオロウラシル(5-FU)パクリタキセル(PAC)の3剤を使用しました。目的は、抗がん剤とフコイダン併用による抗腫瘍増強効果の検討とフコイダンによる抗がん剤由来細胞死からの正常細胞保護効果検討です。実験方法は、ヒト肺腺がん由来細胞株A549細胞と正常ヒト線維芽細胞TIG-1細胞を使い、24時間の前培養後フコイダンと抗がん剤処理をして48時間培養し細胞の呼吸活性(WST-1)と細胞生存率、細胞内のたんぱく質の変化を測定します。

結果、ヒト肺腺がん由来細胞株A549細胞にカルボプラチン、フルオロウラシル、パクリタキセル単独よりもフコイダンとの併用で呼吸活性、細胞生存率に明らかな低下が見られ、細胞周期関連タンパク質であるcdc2のリン酸化上昇が確認できた。正常ヒト線維芽細胞TIG-1細胞に対しては、フコイダン及びカルボプラチン、フルオロウラシルとの併用において細胞毒性軽減効果が確認できた。カルボプラチンに関しては、フコイダンを併用させることによるp53、cdc2のリン酸化減少が原因の一部であると考えられる。フルオロウラシルに関しても同様のことが示唆された。

しかし、パクリタキセルに関してはcdc2のリン酸化減少を確認することができましたが、フコイダンによる細胞毒性軽減効果は見られませんでした。パクリタキセルは微小管に結合して脱重合を阻害することから細胞毒性が強く出ている為、細胞保護効果を示さないと考えます。細胞実験では細胞がむき出しの状態であることから実際の治療においてはフコイダンでは悪影響は出ないと考えられます。

以上の結果から、臨床において化学療法の一つとして各種抗がん剤を使用する際に、フコイダンを併用することで、抗癌作用を増強させる可能性が示唆された。

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