肝細胞がんの治療方法
肝細胞がんの治療方法
child-pugh分類
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肝細胞がんの治療方法は、ステージ(病期)や肝予備能、ご本人の希望や体の状態から総合的に検討されます。
Child-Pufh分類がAかBで、肝臓内にがんがとどまっている場合は「肝切除」「ラジオ波焼灼療法(RFA)」「肝動脈化学塞栓療法(TACE)」が中心となります。
遠隔転移がある場合は「薬物療法」、Child-Pugh分類Cの場合は「肝移植」が選択されることもあります。

肝臓がんの治療方針決定までの流れ
※日本肝臓学会編「肝癌診療ガイドライン2021年版」金原出版を参考に作成

外科療法(手術)

外科療法には肝臓にできているがんを取り除く「肝切除」と、肝臓を全て取り出してドナーからの肝臓を移植する「肝移植」があります。

1)肝切除

肝切除は最も根治性の高い治療法ですが、すべての患者さんが対象となるわけではありません。肝切除において、腫瘍の大きさは特に制限はないですが、肝臓に腫瘍が限局し、肝障害度がAかBで個数が3個以下の場合に第一選択として勧められています。

●がんの発生場所と肝障害度で切除方法が決まる

肝臓は中に入り込む門脈が枝分かれし、それぞれの血流の範囲によって8つの支配領域に分けられます。
肝臓がんは門脈の血流に乗って転移するため、がんが発生している支配領域を切除する「系統的肝切除術」が行われます。
切除の範囲はがんの発生場所だけでなく、肝障害度も確認して決められます。
CTやMRIなどの画像から測定した切除予定範囲が「幕内基準」と呼ばれるアルゴリズムから得られた切除範囲に収まっているかを照らし合わせて、治まっていれば肝切除術を受けられます。

幕内基準による肝切除範囲の決め方


●肝切除後の経過について

手術後の経過には個人差がありますが、術後数日で歩行や食事が可能となり、肝機能や炎症が改善されたら退院できます。ただ、肝切除後の5年再発率は約70%と高いため、再発を早期発見するために定期検査が3~4か月ごとに行われます。

2)肝移植

肝臓は唯一再生する能力を持つ臓器であり、正常な肝臓であれば約7割を切除しても残りの肝臓で再生し、半年ほどでもとの状態近くまでになります。切り離した肝臓でも同じように再生するので、健康な肝臓の一部を移植すれば再生します。この特性を利用したのが肝移植です。
肝移植は健康な人の肝臓の一部分を移し植える生体肝移植と、脳死した人の肝臓のすべて(または一部)を移植する脳死肝移植があります。
肝移植はどの病院でもできるわけではなく、実施できる医療機関は限られています。
また、肝移植を受けるためにはミラノ基準とよばれる一定の条件を満たす必要があります。

ミラノ基準
・血管内に肝臓がんが広がったり、遠隔転移がない
・がんが1つなら5cm以下
・がんが複数なら3個以下で3cm以内
・肝機能が悪い(肝障害度A・Bを含むC)

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ラジオ波焼灼療法(穿刺局所療法)

肝細胞がんの穿刺局所療法では、腹部の皮膚の上から直接がんに針を刺してラジオ波でがんを壊死させるラジオ波焼灼療法(RFA)が推奨されています。ほかにも経皮的エタノール注入(PEI)や経皮的マイクロ波凝固療法(PMCT)がありますが、根治的や安全性の面から現在はラジオ波焼灼療法が主流となっています。

ラジオ波焼灼療法が行える条件
・肝障害度がChild-Pugh分類でAまたはB
・腹水がない(または治療可能)
・がんの個数が3個以内
・がんの大きさが3cm以内で門脈まで広がっていない ※3cm以上でも治療することもある

ラジオ波焼灼療法はMRI検査で効果を確認し、がんが残存している場合は追加治療を行います。
肝臓の一部分だけを治療する局所療法のため、何度も繰り返し治療ができて体への負担が軽いというメリットがある一方、肝切除と比べて再発がやや多いというデータも出ています。
ラジオ波焼灼療法か肝切除かは、主治医と十分に相談し、納得した上で受けることが大切です。

肝動脈(化学)塞栓療法

肝臓がんは肝動脈から栄養をもらって成長します。肝動脈に塞栓物質を詰めて血流を遮断すれば、がんに栄養が届かず兵糧攻めによりがんを死滅させるという治療方法が肝動脈塞栓療法(TAE)です。
肝動脈塞栓療法に抗がん剤を併用したものが肝動脈化学塞栓療法(TACE)で、がん細胞への栄養を遮断する兵糧攻めと、抗がん剤の二重効果でより高い腫瘍壊死効果が得られます。
また、がんに的を絞って抗がん剤が作用するので、通常の化学療法よりも副作用が少ないというメリットもあります。

肝動脈(化学)塞栓療法が推奨される条件
・肝障害度A・B(またはChild分類A・B)
・大きさが3cmを超えた1~3個のがん、もしくは大きさに関わらず4個以上がんがある
・手術や穿刺局所療法の対象とならない

肝動脈化学塞栓療法では根治を得られることは少なく、繰り返し行うことで予後を延ばすという考え方となります。傷口が小さく体への負担も軽い治療方法ですが、肝臓の正常細胞や血管を傷めることがあるため、3ヵ月くらいの治療間隔を空けることが望ましいといわれています。また、「肝動脈化学塞栓療法を2回行っても標的病変の治療効果が不十分または肝内に新たながんが出現」、「がんが脈管に広がったり、遠隔転移が起こったとき」、「腫瘍マーカーが継続的に上昇する」といった3つの条件のうち1つでも満たした場合は不応と考え、他の治療方法を勧められることもあります。

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薬物療法

肝細胞がんと診断される患者さんは元々肝炎や肝硬変があるため、白血球や赤血球が減っているのと、抗がん剤の多くが肝臓で代謝されるため、副作用や肝機能低下へのリスクが高いという理由から、長年肝細胞がんでは抗がん剤治療は行われてきませんでした。
しかし、分子標的治療薬などの登場で肝細胞がんに対する薬物療法が進歩し、2023年5月時点で6つの薬物療法が保険適応となっています。

肝細胞がんの薬物療法は手術や穿刺局所療法、肝動脈化学塞栓療法などが行えない場合に選択されます。
また、全身状態や肝機能が良好であることが条件となります。

肝細胞癌の薬物療法のアルゴリズム

肝細胞がんの薬物療法の一次治療では、自己免疫疾患などがない限り、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が行われます。自己免疫疾患があって免疫チェックポイント阻害薬や使えない場合は、分子標的薬が使われます。

一次治療で効果が認められない場合、別の種類の分子標的薬を二次治療として用いることがあります。

肝細胞がんで使われる免疫チェックポイント阻害薬
・アテゾリズマブ
・トレメリムマブ
肝細胞がんで使われる分子標的治療薬
ソラフェニブ、レンバチニブ、デュルバルマブ、レゴラフェニブラムシルマブ、カボサンチニブ、ベバシズマブ(アテゾリズマブとの併用)

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放射線治療

長年、肝細胞がんの放射線治療は骨転移の痛み緩和や脳転移に対する治療として用いられてきましたが、通常の放射線治療では病巣よりも広い範囲を照射せざるを得ず、高線量を照射すると肝障害のリスクが高まるため、根治を目指す目的では行われてきませんでした。
しかし、重粒子線や陽子線といった粒子線治療や、あらゆる方向からがん病巣に対して放射線を照射するSBRT(体幹部定位放射線治療)の登場で高線量をがん細胞に当てることができ、周囲の正常な臓器や肝細胞へのダメージを最小限に抑えられるようになり、肝細胞がんの根治的治療の1つとして注目されています。

●SBRT(体幹部定位放射線治療)

SBRT(体幹部定位放射線治療)は限局する腫瘍に対して、通常の放射線治療(分割照射)と比べて1回あたり大線量の放射線を短期間で照射する方法です。SBRTの普及で局所制御の向上と周囲の正常臓器への影響の低減が可能になりました。
肝細胞がんでは、以下の適応基準を満たす場合にSBRTが治療方法として選択される場合があります。

SBRT(体幹部定位放射線治療)
・肝障害度がChild-Pugh分類A~B
・手術や穿刺局所療法が困難
・腫瘍最大径が5cm以下
・肝細胞がんの個数が1~3個

●粒子線治療(陽子線、重粒子線治療)

粒子線はX線と違い、体内をある程度進んでから急激に高エネルギーを与えて消滅するという特性を持っています。肝機能を温存しつつ、標的の病巣に高線量を照射できることもあり、限局性の肝細胞がんであれば根治も目指せると考えられています。
日本においては、手術による根治的治療が困難な長径4cm以上の肝細胞がんにおいて2022年4月から粒子線治療が保険適応となっています。


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