日本人の食道がんは、食道の内面をおおっている粘膜の表面にある上皮から発生します。日本では、食道がんの約90%以上が扁平上皮がんです。生活習慣や食生活の欧米化により、日本でも腺がんが増加しています。
食道がんは病期(ステージ)と全身状態により異なりますが、5年生存率は、1a期約93%、1b期約87%、2期約68%、3a期約50%、3b期約30%、4期約16%となっています。
食道がんでは、原発腫瘍の壁深達度(T:primary Tumor)リンパ節転移の有無(N:regional lymph Nodes)、他臓器への転移の有無(M:distant Metastasis)で病期(ステージ)が決まります。これをTNM分類といいます。原発層の壁深達度、病気の進み方、全身状態、年齢、既往歴なども総合的に検討して治療方針を選択します。
食道がんの病期分類(ステージ)
0期 | がんは粘膜上皮に止まり、リンパ節や遠隔転移がない。 |
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1期 | がんは粘膜下層に浸潤している。あるいは粘膜に止まりリンパ節に転移がある。 |
2期 | がんが筋層を越えて食道の壁に浸潤している。近くのリンパ節に転移がある。 |
3期 | がんが食道の壁の外に浸潤している。周囲のリンパ節に転移がある。 |
4期 | がんが食道周囲の臓器に浸潤している。遠くのリンパ節、他臓器に転移がある。 |
食道がんの標準治療
食道がんの治療は、病期(ステージ)に基づいて治療法が決まります。
発生部位、占居範囲、深達度、転移の有無、全身状態、治療を受ける施設などによって治療方針は様々です。標準治療化されているものと、臨床研究段階にあり普及しつつある治療法も存在します。治療方法は、内視鏡治療、外科手術、放射線療法、化学療法があります。これらの治療は単独で行われる場合もありますが、治癒率を向上させるために組み合わせて各治療の特徴を活かした集学的治療も行われます。
現在は抗がん剤治療後に手術を行う治療が最良の治療法と考えられています。
体力的に手術に耐えられないと判断された場合や、手術を希望されないときに第2の選択肢として化学放射線療法(抗がん剤と放射線療法の併用)が行われます。化学放射線療法は外科手術単独の成績に匹敵する効果が示されています。
■食道がんの内視鏡治療
食道がんの内視鏡治療は0期~1期の一部が対象となります。
食道がんが粘膜にとどまっており、病変の広がりが3~5cm以内であり、病変の個数が3~4個までである場合には、内視鏡で治療を行うことができます。しかし、治療前診断と異なり、がんがより深く進展している場合やリンパ管や静脈へがんが及んでいた場合には、がん細胞が食道の外側のリンパ節などに広がっている可能性があるため、追加の外科手術や放射線療法、化学放射線療法が必要となります。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
細胞シートで狭窄予防の新治療法開発
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、2006年に胃がんに保険適用され、2008年に食道がんで保険適用になりました。直径3cm超の腫瘍も粘膜下層ごと一括剥離ができるようになりました。その反面、全周性の腫瘍を切除した場合には食道の狭窄が必発することから、予防策がもとめられていました。今、注目されているのが口腔粘膜細胞から製作した細胞シートを切除部分に貼り付ける方法です。ステロイド内服では上皮化までに通常2ヶ月ほどかかりますが、細胞シート移植では平均3週間程度で上皮化し潰瘍が治癒することが確認されています。2015年はじめにも細胞シートによる治験が開始されるようです。
■食道がんの外科手術
食道がんが粘膜をこえて粘膜下層より深い場合には、基本は外科手術になります。食道がんの外科手術は頸部、胸部、腹部にわたっていて、それぞれの部位によりがんの進行の状況が異なっているので、がんの発生部位によって選択される手術術式が異なります。手術は、食道のがんの完全切除と、がんが転移している可能性のあるリンパ節を広範囲に切除します。
また、食道を摘出後には胃を管状に成形して持ち上げて食べ物が通る経路を再建します。以前に胃の手術をしていたり、病変があって胃が使えないときは、小腸や大腸を用いることもあります。食道がんの手術は7~8時間必要な大きな侵襲を伴う手術になります。体力的に大きな負担がかかり、他の消化器がんの手術に比べ手術後の合併症を起こしやすい手術です。
■食道がんの放射線療法
放射線療法は手術と同様に限られた範囲のみを治療する局所治療ですが、機能や形態を温存することをめざした治療です。また、放射線療法は治療の目的により大きく2つに分けられます。根治的治療と、がんによる痛み、出血、狭窄などの症状を抑えたり遅らせたりする対症治療があります。最近は、放射線療法と化学療法(抗がん剤治療)を同時に行う化学放射線療法が放射線療法だけを行うよりも効果があることがわかってきました。
化学放射線療法は、外科手術単独の成績に匹敵する効果が示されています。ガイドラインでも放射線療法と抗がん剤治療を同時に行うことを推奨しています。最近では、外部照射に加えて、食道内に放射線を発生する放射性同位元素を挿入する腔内照射も行われています。腔内照射は外部照射に比べ副作用は殆どなく、食道のがん病巣に多くの放射線を照射することが可能となり、治癒率も向上しています。
■食道がんの化学療法
化学療法とは抗がん剤による治療のことで、広い範囲のがん細胞を攻撃する治療法です。食道がんの抗がん剤治療は、何種類かの抗がん剤を組み合わせて使用されます。使用される抗がん剤は、5-FU、シスプラチン、タキソテールなどが単剤もしくは併用で使用されます。新しい抗がん剤の開発や研究が世界中で盛んに行われていますが、現時点で分子標的薬の適用はまだありません。
術前化学療法
食道がんの2期~3期の外科手術では食道がんの病巣とリンパ節を含めて肉眼的ながんを切除する治療を行いますが、眼に見えないがん細胞が残ってしまう可能性があります。そこで、外科手術前に5-FUとシスプラチンを用いた術前化学療法を2クール行うことで、再発予防効果が高いことが証明されています。食道がんの術前化学療法は、標準的治療として位置付けられています。
術前化学放射線療法
食道がんに対して放射線療法単独よりも抗がん剤治療と併用して行ったほうがより効果が高いとされています。放射線を外照射で行いながら5-FUとシスプラチンの併用療法が現在、最も有効とされています。以前は20~40Gy程度が多く照射されていましたが、50.4Gyを手術前に用いることが予後改善効果を示したことから、腺がんおよび扁平上皮がん共にガイドラインにも50.4Gyが推奨量とされています。
食道がんと抗がん剤治療
しかし、抗がん剤治療をはじめとする西洋医学だけでは、薬剤耐性・副作用などの問題から食道がんという難治病を完治させることは至難の技です。
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