膵臓がんの治療は、進行度や状態により異なりますが、手術、放射線治療、化学療法(抗癌剤治療)を単独または併用して行います。膵臓がんの治療方法については、日本膵臓学会が「膵癌診療ガイドライン」を作成し標準化しています。標準治療は、国内外の複数の臨床試験の結果をもとに検討され合意が得られている、現時点で最も治療効果の高い最善の治療方法です。
このページでは、膵臓がんの外科手術・放射線療法・化学療法についての解説と副作用を紹介しております。
膵臓がんの外科手術
三大療法の中でも、手術は最も根治的な治療方法です。膵臓がんでは、癌が膵臓より外へ広がっていなければ、可能な限り手術を行います。手術で癌を取り除ければ治癒する可能性も高くなります。膵臓がんの外科手術を受けるには、「膵臓以外の臓器(肺・肝臓など)に転移していない」、「腹膜播種がない」、「重要な臓器を栄養とする大きな血管に癌が広がっていない」という条件をクリアしていなければなりません。
膵臓がんで行われる術式は以下の通りです。
膵頭十二指腸切除術
癌が膵頭部にある時に、膵頭部とその周囲のリンパ節、十二指腸、胆のう、胆管を取り除く膵頭十二指腸切除術を行います。それに加え、癌の発生した場所や広がり具合によっては、胃の一部分を切除する場合もあります。この膵頭十二指腸切除術では、小腸と残った胆管、膵臓、胃を繋ぎ、食べ物と膵液、胆汁の通り道を再建します。また、膵臓の裏には門脈という肝臓へ流れる太い血管があります。その血管まで癌が広がっている疑いがある場合は、血管の一部も合わせて切除して再建します。
膵体尾部切除術

腫瘍が膵体部または膵尾部に存在する場合、膵頭部のみを残して膵臓とその周囲のリンパ節を切除する膵体尾部切除術を行います。膵体尾部切除術では、一般的に脾臓も一緒に取り除きますが、十二指腸や胆管などを切除する必要はありません。癌が周囲の臓器に広がっている時は、それらの臓器を合わせて切除しなければならない場合もあります。
膵体尾部切除術
腫瘍が膵体部または膵尾部に存在する場合、膵頭部のみを残して膵臓とその周囲のリンパ節を切除する膵体尾部切除術を行います。膵体尾部切除術では、一般的に脾臓も一緒に取り除きますが、十二指腸や胆管などを切除する必要はありません。癌が周囲の臓器に広がっている時は、それらの臓器を合わせて切除しなければならない場合もあります。
ステント留置手術

癌によって胆管が塞がり、胆汁の流れが止まることで黄疸が生じます。黄疸が出ると、負担の大きな手術や抗癌剤治療を行えなくなるので、まずはステント留置手術を施します。ステント留置手術は、内視鏡を使用し、胆管の狭くなった所に細いチューブや金属製のステントを入れて広げ、胆汁の流れを改善させるために行われます。
ステント留置手術
癌によって胆管が塞がり、胆汁の流れが止まることで黄疸が生じます。黄疸が出ると、負担の大きな手術や抗癌剤治療を行えなくなるので、まずはステント留置手術を施します。ステント留置手術は、内視鏡を使用し、胆管の狭くなった所に細いチューブや金属製のステントを入れて広げ、胆汁の流れを改善させるために行われます。
外科手術の合併症
膵臓がんの手術の合併症には、膵液廔、胆汁廔、神経性の下痢、胃内容排泄遅延、出血、胆管炎などが挙げられます。合併症の中でも怖いのが、縫い合わせたところから膵液がお腹の中に漏れる膵液廔と、再建した消化管から胆汁が漏れる胆汁廔です。膵液廔、胆汁廔が起こると発熱、腹痛といった症状が現れます。多くの場合、絶食すれば回復しますが、腹腔内出血を起こすこともあります。
膵臓がんの手術はとても高度であり、症例数が多い病院で受ける方が合併症を起こすリスクが低くなります。日本肝胆膵外科学会のホームページでは、膵臓がんの手術などの症例数が多い高度技能専門医認定修練施設も公開されています。
手術後の膵酵素補充と糖尿病対策
膵頭十二指腸切除を受けると、胃の動きが悪くなり、食後に胃もたれを起こし食欲減退を生じやすくなります。また、脂肪吸収力が弱まり、下痢を起こしやすくなることもあります。食欲不振が見られた場合、膵消化酵素補充薬パンクレリパーゼを服用する事が重要です。一度にたくさんの量を食べられなければ、食事の回数を増やし、少しずつ食べるようにしましょう。膵臓は血糖値を調整する役割も果たしています。術後、糖尿病が悪化した時には、インスリンの投与が必要です。
膵臓がんの放射線療法
手術ができない局所進行膵臓がんに対して、放射線療法が行われる事があります。また、最近では抗癌剤と放射線療法を組み合わせた化学放射線療法が行われます。放射線療法単独と比べると化学放射線療法の方が効果が高いことが分かっています。放射線療法は通常、体外照射にて治療を行います。放射線の線量は、一般的に1.8Gy~2Gyで総線量50Gy程度を分割照射されます。
1回の治療に要する時間は10~15分程度で、照射中に痛みや熱さを感じることはありません。一方で、開腹手術中に胃や腸などの正常組織を避けて、病巣のみを照射する目的で開発された術中照射は、病巣に密着して少佐するため、体外照射では不可能な高線量の10Gy~25Gyを一度に照射できるという利点があります。
放射線治療の副作用
放射線治療の副作用は、放射線が放射された部位に起こります。放射線治療の副作用には、胃や腸からの出血、吐き気、下痢、皮膚の色素沈着、食欲不振、白血球の減少などがあります。
膵臓がんの化学療法(抗癌剤治療)

化学療法とは抗癌剤による治療の事で、広い範囲のがん細胞を攻撃する治療方法です。膵臓がんでは、ほかの臓器に転移があるために手術ができない場合や再発した場合に、化学療法が行われます。膵臓がんで標準的に使われる薬剤は左図の通りです。
最近では、手術が出来る場合でも、術前・術後の抗癌剤治療を行った方が再発のリスクが下がる可能性があるとの事で、さまざまな臨床試験が行われております。化学療法を受ける際は、その薬の利点と欠点、副作用の説明を聞き、主治医と相談して納得する事が大切です。
膵臓がんの化学療法(抗癌剤治療)
化学療法とは抗癌剤による治療の事で、広い範囲のがん細胞を攻撃する治療方法です。膵臓がんでは、ほかの臓器に転移があるために手術ができない場合や再発した場合に、化学療法が行われます。膵臓がんで標準的に使われる薬剤は左図の通りです。
最近では、手術が出来る場合でも、術前・術後の抗癌剤治療を行った方が再発のリスクが下がる可能性があるとの事で、さまざまな臨床試験が行われております。化学療法を受ける際は、その薬の利点と欠点、副作用の説明を聞き、主治医と相談して納得する事が大切です。
ゲムシタビン単独療法
点滴で投与するゲムシタビン(ジェムザール)を単独で使用します。基本的には、週1回、ゲムシタビン(1000mg/㎡)30分、制吐剤など30分で合計約1時間点滴投与する抗癌剤治療を3週間行い、1週間休薬して4週間で1クールとなります。それを繰り返し、治療効果を観察しながら治療を行います。医療機関によっては、ゲムシタビンとTS-1の併用療法も行われています。
ゲムシタビンとエルロチニブの併用療法
ゲムシタビンとエルロチニブの併用療法では、基本的にゲムシタビンに加えて内服薬であるエルロチニブを1日1回朝食より1時間以上前に服用します。ゲムシタビン単独療法よりも副作用が強く出やすいので、食欲と体力がある患者さんに適しています。
ゲムシタビンとアブラキサンの併用療法
ゲムシタビンとアブラキサンを1週間に1回、3週間投与して1週間休薬して1クールとなるのが一般的です。これを繰り返し、効果を観察しながら治療を行います。
TS-1の単独療法
内服薬であるTS-1を1日2回4週間服用し、2週間休薬して6週間で1クールとなります。TS-1の服用量は、身長と体重から割り出される体表面積に応じて、1回80~120mg/日で決められます。TS-1は、長時間点滴を受ける必要がないという利点がありますが、薬の飲み忘れが多い方、腎機能障害がある方には不向きな治療法でもあります。
FOLFIRINOX療法
FOLFIRINOX療法は、2013年12月に治癒切除不能の膵臓がんで承認されました。イリノテカン、オキサリプラチン、レボホリナートを4時間かけて点滴した後、400mg/㎡の5-FUを急速投与し、さらに2400mg/㎡を46時間持続静注投与します。その後、12日間は休薬し2週間で1クールとなります。FOLFIRINOX療法では、鎖骨辺りに5-FUを注入するポートを埋め込むため、通常の生活を送れます。
効果が高い分、副作用が強いため、65歳未満で全身状態のが良く好中球が2000以上、血小板が10万以上、黄疸を認めないことが適応の条件となります。
神経内分泌腫瘍の薬物療法
手術ができない程、癌が広がっている神経内分泌腫瘍に対しては、分子標的治療薬のスニチニブかエベロリムスが第一選択薬となります。2014年11月には、新たにストレプトゾシンが承認され、治療の選択肢も広がりました。インスリンなどのホルモンが過剰に産出される症状が出ている場合、注射薬のオクトレオチドを併用します。
化学療法(抗癌剤治療)の副作用
抗癌剤はがん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えます。特に、口や消化管などの粘膜、髪の毛、骨髄といった新陳代謝の盛んな細胞が影響を受けやすく、口内炎、下痢、吐き気や嘔吐、脱毛といったさまざまな副作用が出現します。また、肝臓や腎臓に障害が出たりする場合もあるため、治療中は副作用の出現にも気を付けなければなりません。化学療法を円滑に行うには、副作用を最小限に抑え、QOLを高い状態に保つことが重要です。
お問い合わせ先
NPO法人日本統合医療推奨協会では、フコイダン療法やがん統合医療についての無料相談窓口を設置しております。
臨床に基づいた飲用方法、がん治療についてのお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。
お電話が繋がらない場合は、氏名・ご連絡先・お問い合わせ内容をご入力の上info@togoiryou.comまでメール送信下さい。
資料もご用意しております。
フコイダン療法についての無料レポートをご用意しております。お電話または資料請求フォームよりご請求下さい。